NMNが老化したマウスの腎臓プロテオスタシスを改善した
「プロテオスタシス」という言葉を聞いたことあるでしょうか。プロテオスタシスとは全てのタンパク質が共存し、
最適な効力を発揮できるバランス、及びネットワークのことを指します。
このプロテオスタシスネットワークは老化や、病気や遺伝の影響によってアンバランスになります。病気や遺伝の影響は誰にしも必ず起こることでは
ありませんが、老化は人類全員に必ずやってきます。
世界全体で高齢者の人口は類を見ないスピードで増え続けています。もちろん日本は世界の中でも高齢化社会へ加速の一途を辿っています。
老化によってさまざまな臓器も老化しますが、全ての臓器が同じスピードで老化するわけではありません。そこで専門家らは各臓器への理解が必要だと考えます。今回のご紹介する研究で着目されたのは腎臓です。腎臓は主に体の老廃物を排出したり、血圧を調節する役割があります。
高齢者は腎臓病にかかりやすといわれています。これは血液から老廃物を濾過する速度が低下し、腎機能を損なうことが原因です。
そこで研究者らはNMNを用いて加齢よって低下した腎臓のプロテオスタシスを改善できないか実験しました。
実験では96週の老化マウスにNMN(500mg/体重 2日ごと、4週間)に渡って投与しました。その結果190個のタンパク質をアップレギュレートし、
腎臓では134個のタンパク質を下方制御したことが明らかになりました。また、NMN投与をしていないマウスに比べてNMNを投与したマウスではプロテオスタシスを逆転させることもわかりました。
参考文献
. Comparative proteomic analysis identifies biomarkers for renal aging. Aging (Albany NY). 2020 Nov 612:21890-21903. https://doi.org/10.18632/aging.104007